業界の課題
厚肉アルミ材切断における実際の課題
厚さ数十~数百ミリメートルのインゴットや板材の切断は、薄肉形材の切断とはまったく異なります。当社の鋸刃は、次の4つの生産課題を解決するために設計されています。
切りくずの凝着とかじり(構成刃先)
深い切断では各刃がアルミニウム内部を通過する時間が長くなり、強い摩擦熱で切りくずが軟化して超硬チップへ凝着します。構成刃先が形成されると鋸刃は瞬時に切削能力を失い、モーターが停止して計画外のライン停止を招くことがあります。
深切り時の鋸刃たわみ
直径700~1000 mm超の鋸刃で深切りする場合、剛性不足や不均一な加熱がある台金はねじれ、切断軌道がずれます。その結果、端面の直角度不良や深い鋸目が生じ、高価な航空宇宙用・産業用板材が不良品となるおそれがあります。
不十分な切りくず排出
厚肉材の切断では大量の切りくずが発生します。歯室が小さすぎると、狭い切断溝の中で切りくずが押し潰され、再切削されるため、耳障りな騒音が生じ、刃先摩耗が急速に進みます。
長く連続した切りくず
長く巻いた切りくずは生産ラインや設備内部で絡まり、集塵・排出設備では処理しにくくなります。コンベアやダクトを塞ぎ、手作業での清掃のためにラインを停止させます。
技術的アプローチ
各故障モードに対応する実践的な設計
最適化TCG刃型と超精密研削すくい面
切りくず凝着を抑制します。厚肉アルミ材向けのトリプルチップグラインド(TCG)が切削負荷を均等に分散し、超硬チップのすくい面は高番手ダイヤモンド砥石で鏡面状に精密研削します。極低摩擦のすくい面が切りくずの流れを促進し、構成刃先の発生を根本から防ぎます。
高品質80CrV2台金と動的テンショニング
たわみと切断面のばらつきを抑えます。台金は高品質80CrV2工具鋼から精密レーザー切断し、多段階熱処理を施します。すべての大径鋸刃へ熟練技術者が精密ロールテンショニングを行うため、高速回転時の遠心荷重下でも振れを抑え、滑らかで鋸目のない端面を実現します。
大容量歯室とレーザー加工膨張スリット
切りくず排出不良と騒音を抑えます。深く大容量の歯室が、一回の通過で大量の切りくずを切断溝から排出します。銅栓入りレーザー膨張スリットとTPU充填制振スリットが共振を吸収し、蓄熱を抑えながら切断騒音を10~15 dB低減します。
長い切りくずを抑える最適化刃型
連続した切りくずを短く処理しやすい形状へ分断します。最適化した刃型により、コンベアや集塵ダクトを塞ぐ長い巻き状切りくずを防ぎ、ラインの連続運転、生産量向上、切断単価の低減に貢献します。
推奨鋸刃
アルミインゴット・ビレット用大径チップソー
本ソリューションを支える製品シリーズは、高生産ラインでアルミニウムおよび銅合金のインゴット、ビレット、ログ、スラブ、厚板を分割切断する大径チップソーです。
外径範囲
660~2200 mm(ご要望により2500 mmまで対応)。
台金とチップ
80CrV2工具鋼製台金と超硬合金TCGチップ。
厚肉材に対応
直径700 mmまでの丸インゴット、厚さ700 mmまでの角インゴット・スラブ、各種材質・厚さの圧延板に対応します。
仕様選択
銅栓あり・なしの膨張スリット、研磨仕上げ、表面または内部テンションリング、TPU充填制振仕様を選択できます。
期待できる効果
生産ラインで得られる効果
当社の厚肉アルミ材用鋸刃と推奨切削条件へ切り替えた場合に期待できる代表的な改善効果です。
再研磨間隔を20~50%延長し、鋸刃交換によるライン停止と生産損失を大幅に削減します。
安定した切断精度と、目立つ鋸目や端部バリのない均一で滑らかな端面により、良品率を高め、スクラップを削減します。
切削抵抗の低減により主軸モーター電流が下がり、鋸切断機への負荷を軽減して設備寿命を延ばします。
技術FAQ
よくあるご質問
7075航空宇宙用アルミニウムも6061と同様に切断できますか?
はい。亜鉛と銅を含む7075は6061より硬く、刃先に高い耐摩耗性が求められるため、高強度合金用に設計したサブミクロン粒超硬チップを使用します。7075の切断時には、送り速度をやや下げ、クーラント流量を増やすことを推奨します。
厚いアルミ板の切断にはMQL(微量潤滑)が必要ですか?
はい。MQLまたは十分な量のクーラント供給を強く推奨します。当社の耐凝着すくい面設計でも、約100 mmを超える中実アルミニウムの深切りでは、内部の切削熱を除去し、重大な切りくず凝着を防ぐために外部潤滑が不可欠です。
重切削用アルミ鋸刃は何回再研磨できますか?
超硬チップが著しく摩耗または欠損する前に鋸刃を取り外せば、当社の大径鋸刃は通常、専門業者による再研磨を最大約10回行えます。これにより、工場の消耗品総コストを大幅に削減できます。

